12日の日曜日は2回目の「飛ぶ魚コンサート」。独自のアコースティックギターの音色を創り出してアメリカでも評価の高いギタリスト塚本浩哉のコンサートがありました。9月26日からはじまったジャパン・ツアーの最終日、湯河原の「飛ぶ魚」で演奏してくれました。胸にはいってくるギターの音色とともに、音に向かう誠実でのびやかな姿勢が、私たちを和め、鎮めてくれました。「いろいろな昔の映画の情景を思い浮かべながら、音楽が心に入ってきた。家のドアをあけるまで、この別世界にひたっていたい」と言われていた方もいました。日本の歌「ふるさと」などの演奏の時は友人のお母様が歌詞を口ずさみながら聞いていらっしゃいました。
塚本さんの詩を誰かが読んで、いっしょに演奏をする、という試みもあって、なりゆきで私が詩を朗読し、塚本さんが演奏しました。こんな詩です。
「これから」
長い旅を終えた友人が 久しぶりに顔を見せた
ひとまわり大きくなった背を向けて
丁寧に靴ひもを結び直すのだった
「まだまだ」、「まだまだ」と言いながら。
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雪解け水が川を濁す頃、僕はこの町へやって来た
それから月日は流れ、多くの人が去っても
僕はまだここにいる
「そろそろ」、「そろそろ」と言い続けて。
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高くそびえ立つように見えた山脈が
今はずっと下に見える
僕はいつかの友人を真似て 心の中でつぶやいた
「これから」、「これから」と。
13日の朝、塚本さんは日本からアメリカへ帰られました。
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