先週の26日(金)織茂恭子展始まりました。初日は静岡市から迷いながら来てくださった方がゆっくり織茂さんの原画と作品を「すばらしい、すばらしい」と見てくださって、心楽しい初日になりました。ご近所のかた、絵本がお好きな方たちが、6月6日以来のオープンの「飛ぶ魚」を訪れてくださって、目の前にひろがる雨に煙るみかんばたけや海のひろがりの中で、織茂さんの絵を楽しんでいかれました。
27日(土)は、織茂恭子さんのトーク会!心配していた雨もあがり、織茂さんの絵本を好きな方たち、織茂さんのお話を聞きたい方たちがたくさん集まってくださって、わくわくする日となりました。期待通り織茂さんのお話は絵本『はなびがあがりますよ』を描くときどんなふうに光が透ける感じをだしたかという手法の説明から始まり、その気さくで、きどらない率直な話しぶりで、ぐんぐん引き込こまれる力をもっていました。『イルミネコがまよなかに』をつくったとき、どんなに切り紙絵に魅せられていたか、アトリエの自分の座るスペースのまわりは切り取った紙だらけ。細かい作業は焼き鳥のくしを削りながら糊付けをしていった話など、夢中になっている描いてい
る時間が、時を忘れる、没頭してしまう時間だと。そもそも紙を切ってはって造形することに魅力を感じたのは高村智恵子の、精神を病んでいても美しい造形にふれたのがはじまりということでした。途中、お話を聞きにいらしていた松竹いねこさんが自作に織茂さんが絵をつけられた『かみのけちょっきん』を、安江リエさんが同じく自作の『なこちゃんとカータロー』をそれぞれ、さすが作者といういきいきとした朗読をしてくださって、すてきでした。
『イルミネコがまよなかに』に詩をつけられた阪田寛夫さんとのはじめての絵本『ねんねこさいさい』をなさってから、阪田さんが自由に柔らかく自分を受けとめてくれてどんなにうれしかったか、阪田さんがふわりとそこにいる感じがどんなによかったか、についてその長い交流についても話してくださいました。
それから『海からきたおじちゃん』を長野県伊那谷の小学校2年生の子どもたちが大好きで、その担任の先生が子どもの学びを自然に引き出す教育をされたすばらしい方だったこと、その生徒たちが織茂さんにくれた手紙を紹介しながら、自分が思っている以上の広がりを個々人が受け取ってくれることのすごさについて語られました。
また宇宙と生命について感じること、日々の暮らしがそこに息づいていることの大切さなど、思わずひきこまれてしまうお話で、時間を忘れてしまい、聞いてくださっていたみなさまも、おもしろかったー、と笑顔で絵本にサインをしていただいていました。
この作家のトーク、毎回どうしてこんなにそれぞれで、どうしてこんなに面白いのだろう、と思ってしまいます。とくに絵本そのもののお話だけでなくても、その方の今にいたる歩みそして、今の息遣いのようなものを直接受け取ることができる貴重で、わすれがたい時間だと、今回もつくづく感じました。
織茂恭子展は8月1日(土)までの金曜日、土曜日開催です。どうぞお立ち寄りください。ランチも用意してお待ちしています。
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