11月6日(金)より「飛ぶ魚」ではスズキコージ展がはじまりました。絵本の原画は初期の傑作『エンソくんきしゃにのる』(福音館書店)。青を基調にして折り重なる色彩の中で静かに展開する絵本です。静かにコージさんの魔法を宿している原画がギャラリーいっぱいに展示されています。
そして初日の午後、スズキコージさんのトーク会。江の浦にお住まいだった親しかった詩人岸田衿子さんをしのんでのあれこれのお話、真鶴湯河原の知っている場所、たとえばままねの湯などのこと。また来年の春にアーサー・ビナードさんと作る予定の広島の原爆の絵本のこと、LOVE & PEACE が原発や原爆の記憶を抱えたところで成立していること、そして、入口のインドネシアのバリ島の伝統の村、トゥンガナン村で現地の人たちと一緒に染めたバティックが日の光に輝き風にゆれるのを見ながら、バリ島でであった踊り、歌い、沐浴をした日々を語ってくれました。それからメキシコの死者の祭りのこと、ハンガリーで歌手として認められテレビでも歌ったこと、ルーマニアのイラスト墓場といわれるお墓の絵のこと、などなどどれもそのひとこまひとこまが目に浮かんできて、コージさんと旅をしてきた気分になることができました。なんと言っても楽しかったのは、コージ語のついた歌をみんなで歌い、その上にコージさんが別のメロディーをのせてハモる――というので、来てらした方みんなが大きな声でベースのメロディーを歌って、コージさんも「子どもがのるのはよくあるけど、ここの人たちはいいねえ」と感心、声をだしてすごーく開放されました。そのあとお会いした人と「あの時の言葉もメロディーも思い出せないねえ」と。まさにライヴでした。
そして夕方、湯河原図書館で講演を終えられた谷川俊太郎さんが来てくださって、コージさんはまた歌い、私たちもまた歌い、谷川さんにも聞いてもらえてコージさんもみなさんもうれしそうでした。おふたりとも午後ずっとお話されてお疲れさまでした。ほんとうにありがとうございました。
サイン会のあと、お時間のある方は真鶴のプルさんがつくってくださった恒例のカレーパーティーに参加され、秋の夕べをコージさん、谷川さんともども楽しみました。なんて盛り沢山なぜいたくな一日!
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