7月の終わりから沖縄本島を何カ所か訪れ、最南端の島の波照間島と、神の島の久高島に滞在しました。島では民宿に泊まって、夜の「ゆんたく」(おしゃべり)を楽しんだり、古民家に泊まって自炊生活をしたり、のんびりと過ごしました。ずうっとお天気で、船の心配もなく、楽しめました。
波照間島のニシ浜は、白、ブルー、黄、ピンク、紫の珊瑚が一面にひろがり、色とりどりの魚がいて、あんまりたくさんなので、ちょっととおしてね、といいながら泳ぎました!その先の波照間ブルーのちょっと深いところにいくと、下方の真っ白い砂地に自分の泳ぐ影が透明な水を通して映って、自分が宙にいるような不思議な感じに包まれました。浜は遠浅なので子どもづれの人も多く子どもたちのはしゃぐ声がいつも聞こえていました。宿でご一緒だった家族連れは、ナマコがいる海底からナマコを集めて、親子でナマコ投げ合い合戦。2歳半の女の子も両手にナマコをもって見てました。ここの海は広く浅く美しく、いろんな生き物がいて子どもたちには最高の遊び場です!
すごかったのは波照間島に行く途中の船近くにイルカが何頭か来て、船を一時とめてくれて、見れたことです。ここはこんなふうにイルカが泳いでいる海なんだーと胸がいっぱいになりました。その上驚いたのは、浜のすぐ近くに海ガメの親子が来ていたことでした。はじめはそろそろ上がろうかと浜の浅瀬にいったところで、30センチくらいの、きれいな目をした赤っぽいカメが頭を下にして、石についた藻をゆっくり食べまた少しいってはとまって食べ、時々水面に顔を出し、という様子をずうっと見ることができました。次の日もやはり比較的浅瀬でこんどは乗れそうなくらい大きなカメが目の前のあらわれ、やはり石の藻を悠然と食べるのを見ました。このときはカメに夢中な中学生くらいの男の子が顔の真ん前までいっては写真をとっていて、お母さんがもう行きましょうといっても、カメから離れないでいました。小さい子たちもそばに行って触ったりしたそうなので、カメはしばらくは姿を現さなくなってしまいました。カメたちにはほんとに迷惑だったかもしれないけれど、こんなふうにふつうにカメに会えることなんて、一生に一度かも、と思うと子どもたちが夢中になる気持ちもわかります。
波照間島から向かった久高島の滞在ものんびりと、静かでよかったです。何時に何をするという予定が何もなくて、おひさまが昇るころ起きて東の海へ、近くの美しい海で泳ぎ、、おひさまが沈むころには西の海へ、星が出る頃はサトウキビ畑へ満点の星を見に出かけ。夕陽を見におばあちゃんが一人で来て、タコ取りをしたときの話をしてくれたり、ベンチにおばあちゃんたちが数人すわって夕涼みをしていたり。おじさんたちがご機嫌で夕日の見えるベンチでビール飲んでたり。ひとりのおばあちゃんが「息子のいる東京いったけど、つまんなかった。ここは暑いけど、外に出ると気持ちがいいし、どこでも歩いて行けるし」と話してくれました。自然のリズムといっしょに家の外へでて、風を感じ、人に会う、そんな暮らしは人をおだやかで落ち着いた気持ちにしてくれるものだなあ、と思います。
久高島へ行く安座真港まで乗ったタクシーの運転手さんは久高島が聖霊のおりてくる島だという話、魂(マブイ)がさまよい出た人に戻る話など、してくれ、また全く違う場所から来た、年齢も違う二人の女性が、別々の時のタクシーに乗って、久高島の御嶽(うだき)で小さなおばあちゃんが何かをつぶやいていた。ことばはわからなかったが意味はわかった。「争いごとのなかったずうっとむかしにもどってほしい」といっていたという同じ体験をしたことを話してくれました。沖縄は戦争の時は日本に、終わってもアメリカにつらい思いを今もさせられているからねえ、と。運転手さんは三線が上手で(助手席においてありました)前日は北部の故郷の村の祭りで、衣装着て三線弾き続けて、汗だくになったよ、と。三線聞かせてもらう間もなく大急ぎで久高島へ行く船に乗らなくてはならなくて残念でした。久高島は樹木豊かな、心静まる場所でした。掃除も行き届きどこもきれいでした。賢く暮らし、自分たちの島の神事を守ってきて(難しいことにもなっているようですが)すばらしいマブイの文化を何百年と守ってきたこの小さな島の人々が、現代の私たちにまで大事なことを伝えてくれていることをほんとうにありがたく思います。(詳しくは『日本人の魂の原郷 沖縄久高島』比嘉康雄著 集英社新書) 地元のなんでも屋さんで食材を買い、おかずを作り、オリオンビールをのんでーー心豊かな日々でした。
夏休みも終わり、今日から「飛ぶ魚」での暮らしです。朝は日の出を見て、琴ヶ浜で泳ぎました。沖縄より水が冷たかったけど、稚魚の群れがたくさんいて、イカの子どもたちもたくさんで揺れていて、いい海でした。自然とともにあるこの湯河原真鶴も、自然と文化の恵みいっぱいの場所です。そのことを心にとめて暮らしていきたいです。さ来週は9月9日(金)からはじまる伊藤秀男さんの展覧会のため、名古屋の伊藤さんのところへ行ってきます。9月10日(土)2時から伊藤秀男さんのトーク会があります。お楽しみに!
コメントをお書きください