来て下さった方たちが新鮮な風を「飛ぶ魚」に運んでくれた「さとうあや展」はきょうでおしまいです。先週、今週とたくさんの親子連れが楽しんでいかれました。さとうあやさんのご友人も遠くからいらしてくださったり、「飛ぶ魚」の入り口の魚や屋根の風見魚を作ってくださった鉄の彫刻家、中里絵櫓州さんもあらわれてくださいました。絵本を書かれていた詩人の息子さんもふらっとみえていろんな話をしてくださったり、ネコが好きな母娘が絵を見にいらしたり、遠方からあやさんの絵をもとめにいらしてくださったり。編集の元同僚も親子連れでみえて、あやさんは天才、と意気投合しました。つつましく一生懸命でいながら、現実につきすぎることなく、ふわっと絵で物語をたのしめてしまう資質は貴重なものです。「かわいい絵ね」などということばで終わってしまう見方もあってとても残念におもうこともあります。エキセントリックなところはどこにもないのに、絵にあらわれているセンスとやわらかな感性は生来のもの。とりわけ子どもの本の根本にかかわる豊かさを感じます。
この小さな町で、子どもたちが安心して豊かに大きくなっていけるかどうか、そのことから目をそらすことなく、暮らしていきたい。私的な利権などでもし小さな町が動くことがあれば、それがあちこちで行われるのであれば、その積み重ねは国のあり方を決める。そしてそれは戦争への道をつくる。今私たちに見えにくくされている確かな戦争への道。見えにくいものを見る努力、守りたいものを豊かに守る力を、それぞれが蓄えたい。もうすぐ湯河原真鶴アート散歩もはじまります。