安井清子展始まりました!

 昨日の「安井清子展」のトーク会は満員盛況の楽しさいっぱいの半日でした。安井さんんが23歳の時にタイの難民キャンプでモン族の人々に会って以来、ラオスに帰還したモンの人々とずっと関わって、ゲバトゥ村に図書館をつくることになったこと、図書館を作るということは建物を建てるだけでなく、そこに子どもたちがきて、本の世界を楽しむ場所にしたい、という願いのもとにはじめた図書館作り。建築家の鈴木晋作さんが、村の人々と建物を作っているあいだに、そばにござを敷いて子どもたちにモンのことばを覚えつつ絵本を読んでいたこと、をはじめに話して下さいました。そこにちょうど現れた鈴木晋作さんご本人が「自分は建築を物語化した。現地の素材で現地の人といっしょに、子どもが子どもらしくいられる場所を形にした」と明晰に語られました。安井さんの名著『ラオス、山の村に図書館ができた』(福音館書店刊)にそのあたりは詳しく書かれています。

 山の子どもたちはたくさんの労働があり、大きくなると親が図書館に来るのをいやがることもあったが、初めの頃来ていた子どもたちが大きくなり、お母さんお父さんになると、図書館にいくのをいやがるということはなくなってきた。また運営をそういう人たちに任せられるようになった。

 モンの人々は文字をもっていなかったが、ことばをとても大切にしている。神事のことば、秘儀のことば、そして昔話のお話をとてもよく記憶している。絵などあまり描いたことのない子どもたちが昔話の場面をためらうことなく絵にできるのは、ことばを聞いて、その場面を思い浮かべることを積み重ねてきたからではないか。

 お話の本を子どもたちはとても喜ぶ。ことばを聞くことそれがお話になっていることへの喜びがそこにあるように思う、と語られました。水牛に乗って遊ぶ子どもたち、重い水を運ぶ子どもの姿をとらえた映像も見せてくださり、子どもたちの姿がインパクトをもって迫ってきました。そのあとはテラスで木の実の人形をつかって「三びきのやぎのがらがらどん」を、夫君のノイさんといっしょに演じてくれて拍手喝采。こわい悪魔がでてきたら、近くで見ていた女の子が泣き出す場面も。ミカンの白い花の甘い香りが時折風に乗って漂う中での人形劇は、もっと見たいという声がきこえるほど、愛らしく愉快でした。

 お二人の息子さんの翔くんもテラスで晋作さんの娘さんたちと遊んだり、ときどきお母さんの話を聞きに来たり、笑顔を絶やさず元気でした。

 そしてテラスで販売したきれいなモンの刺繍のバックや小物入れも、思わず選ぶのに集中して時を忘れてしまうほど。ほんとに盛りだくさ友って変えられるた。んで楽しいトーク会でした。おみやげは「たんぽぽ作業所」の方たちがつくってくれた刺繍絵本『サルとトラ』のクッキー。

 夕食会は興味津々でトークを聞きに来て下さった田島征三さんも参加して下さり、小風さちさんと絵本のお話をされたり、安井さんとラオスの森がどんどんなくなってしまうことへの危惧をはなされたり、活気のある、楽しくおいしい夕食会でした。

 私は安井さんがラオスの子どもたちの話をされる時、いつもひとりひとりの名前では

なされることに心うたれました。そうなのです。環境や文化の違いは大きくても、そこに暮らす人はひとりひとり、名前をもち、それぞれのあたえられた場所で、生きている、ひとくくりにしないことで見えてくることが、伝えられることがあるんだなあ、ということを思います。

ギャラリーカフェ飛ぶ魚

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